◆単著書◆
3,澤 佳成『開発と〈農〉の哲学――〈いのち〉と自由を基盤としたガバナンスへ』はるか書房、2023

2,澤 佳成『人間学?環境学からの解剖――人間はひとりで生きてゆけるのか』梓出版社、2010
1,澤 佳成『新潟震災ボランティア日記――被災地の「自立」論?』新風舎、2006
◆共著書◆
6,清原悠編
『レイシズムを考える』共和国、2021

アメリカで誕生した「環境正義」理念。この理念には、環境破壊から受ける被害を回避するために必要な私たちの権利がちりばめられています。ところで、この理念、実はレイシズムと関係があるのです。アメリカでは、1970年代、人種的マイノリティの住む地域に産業廃棄物処分場が多く立地している事実が明るみになりました。環境問題の発生する場とレイシズムとが密接に関係していたのです。そこから生まれたのが「環境レイシズム」という概念です。私の章では、この環境レイシズムの歴史と、それを改善しようとする市民運動から環境正義の理念が生まれた背景についてまず明らかにしました。そのうえで、公害のおおくは、編者の清原悠さんの指摘される「公的レイシズム」の側面があるのではないかと考え、私なりの定義を示しました。最後に、では、そうした問題をもふくむ環境破壊をどうすれば改善していけるのか考察しました。
5,時代をつくる文化ラボ制作(小谷英生?小山花子?和田 悠?澤 佳成)
『リアル世界をあきらめない――この世界は変わらないと思っているあなたに』はるか書房、2016
東京都調布市の崖線に広がる「若葉の森」。2008年末、都市のなかのこの貴重な森を道路が通るという住民説明会が開催されます。1962年に引かれた道路計画線が復活したというのです。さあ大変! 地域住民のみなさんが森を守ろうと集まったおかげで、計画の復活から9年たった今もなお、森は市民の憩いの場であり続けています。住民のみなさんは、どうやって森を守ってこられたのでしょう? その取り組みに、持続可能な社会の構想に有益なヒントが隠されているのではないか、という視点からまとめました。
4,尾関修二監修、環境思想?教育研究会編
『「環境を守る」とはどういうことか――環境思想入門』岩波ブックレット、2016
だれもが良好な環境のもとで暮らす権利をもつのだと謳う環境正義。この理念は、ある問題をきっかけに誕生します。それは、環境破壊の問題と人種差別の問題が、じつは密接に関係しているのではないかとアメリカで提起された「環境レイシズム」の運動です。鉱山などの採掘現場ではたらく人びとはネイティブ?アメリカンが多い、環境に汚染をもたらす工場が設置される場所は有色人種の暮らす地域が多いといった現実が、20世紀中盤のアメリカにあったのです。特定の地域の人びとを差別したうえに成り立つ豊かな生活。そして、公害が起こっても、被災地の人びとが十分な救済をされず、分断される現実。これもまた環境レイシズムといえるのでは?という疑問から、本章をまとめました。