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研究内容

音響現象と他の現象の相互作用

音波の伝播によって引き起こされる作動流体の圧力変動,温度変動,密度変動,位置変動と他の現象を同時に起こすことで,新しいデバイスの提案を行っています.例えば,音響現象とルートビッヒソレー効果を同時に起こすことで「音波によって2成分気体の分離」を実現しています.また,相変化物質(例えば水)の蒸発と凝縮と音響現象を組み合わせることで,従来の熱音響効果を増強する研究も行っています.現在,様々な「現象」と音波を組み合わせることにチャレンジ中です.

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左図のような装置を用いて,音波を入力すると,右図のようにTubeC内の成分割合が,He:Ar=0.5:0.5(初期値)から0.76:0.24まで変化する.(S. Sekimoto JASA 2024)

振動流を用いたエネルギー変換器

熱音響エンジン

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熱音響エンジンの写真

音による気体の圧縮?膨張および気体の移動を利用することで,熱を仕事に変換することが可能です.これを実現する装置は熱音響エンジンと呼ばれています 熱音響エンジンは高温になる部分に稼働を一切持たないユニークなエンジンです.また,20世紀から21世紀にかけての研究により,そのエネルギー変換効率が 自動車のエンジンの効率に匹敵するまで高められました.本研究室は,熱音響エンジンの特徴を活かした応用装置の研究に取り組んでいます.

熱音響冷凍機?ヒートポンプヒーター

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音圧(音波の振動振幅)と生成される温度の関係.
M. M. Bassem et al.(APEX (2011))

熱力学的な観点から考えると,エンジンと冷凍機は表と裏(時計回りと反時計回り)の関係にあるともいえます. つまり,熱音響エンジンでは熱(温度差)を用いて音響的な仕事を作り出すのに対して,音響的な仕事(音)を用いて,温度差(冷却力or加熱力)を作り出すこと が可能です.音による冷却を実現する装置は熱音響冷凍機,加熱を実現する装置は熱音響ヒートポンプヒーターを呼ばれています.熱音響冷凍機,ヒートポンプヒーターは 自然冷媒(ヘリウム,アルゴン,窒素)などを冷媒として利用できるため,環境親和性が高く,また,相変化を利用しないため多様な温度の実現が可能です. つまり.-200℃の極低温を作ることも400℃の高温を作り出すことも可能です.また,近年の研究によりその性能も向上しています.本研究室では 理論計算に基づいた装置の設計や新しいタイプの冷却機,加熱機の研究を行っています.

様々な音響導波管の損失の定式化

急拡大管,曲げ管,T字管部では流れの剥離により音波の運ぶエネルギーが局所的に減少してしまいます.減少量を予測したり,少なくしたりすることを目的に研究を行っています.

急拡大,急縮小部の散逸の予測

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左図のような形状の管において,実験と予測値を比較.右図のように実験値と予測値が定量的に一致している.(Y. Ueda JASA 2020)

相変化物質(水の蒸発?凝縮)が音波の伝ぱに与える影響の解明

媒質の相変化(例えば液体の水から気体の水への変化)により,音速が低下したり,減衰が大きくなったりすることがあります.これまで,そのような現象がいくつも報告されており,それを表現する理論も提案されていました. しかし,理論と実験の定量的な比較はほとんどなされていませんでした.そこで,相変化が起きやすい環境を実験的に作り,実験値と理論値の比較を行いました.

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相変化が起きる状況下と起きない状況下での音響エネルギーの散逸の比較.シンボル:実験値,線:理論値.(Y. Ueda JASA (2019)

媒質の相変化を利用することで熱音響効果を強めることができます.古くは1800年代から知られていたこの事実を,定量的に検証し,その効果を示しました.

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熱音響エンジンの駆動に必要な温度差と無次元蓄熱器流路径の関係.(K. Tsuda Applied Energy (2017)