オゾン (O3)
アサガオ(スカーレットオハラ)の葉に発現したオゾンによる可視障害
光化学オキシダントの主成分であるオゾン(O3)は、植物に悪影響を及ぼす大気汚染ガスです。
オゾン層のオゾンと光化学オキシダントのオゾンは同じ物質ですが、オゾン層のオゾンは
人間や動植物に悪い紫外線を吸収してくれるいわゆる『良いオゾン』です。
これに対して、地表付近に存在し、光化学オキシダントの主成分であるオゾンは、
人間や植物などに被害を発現する『悪いオゾン』です。
このように、オゾンは存在する場所によって、良いオゾンである場合と悪いオゾンである場合
があります。
現在、世界的に、悪いオゾンの濃度が上昇しています。比較的高濃度のオゾンに暴露された植物
の葉には可視障害が発現します。また、葉に可視障害が発現しなくても、植物の成長や光合成が
阻害され、農作物の収量が低下します。
日本における地表面付近のオゾン濃度は植物に有害なレベルであり、すでに夏季には農作物の葉
の表面にオゾンによる可視障害が発現しており、おそらく収量も低下しています。
東京都の多摩地区や埼玉県では、主に夏季において、オゾン濃度が上昇し、農作物に悪影響を
与えています。
私たちの研究室では、農作物や樹木に対するオゾンの影響を調べています。