プログラムについて:概要

本プログラムは、「食料生産の大部分を石油エネルギーに依存する世界的危機」から脱却し、非石油依存型食料生産の時代を創出する人材を養成することを目的とする。

 全世界の食料の大部分は石油エネルギーを利用することによってつくり出され、現在少なくとも、50億人以上が生きるための食料生産は石油に依存している。これは、有限の地球上で高密度化社会が形成され、全人類約70億人のための食料生産は自然農法では到底賄えないことを明確に意味している。すなわち、人類が永続的に地球環境を持続しながら心身共に豊かな生活を送るためには、その生命の源である「食」に関する地球規模での究極的な課題に挑戦し、食の生産性やエネルギー依存形態を変革することが必須である。この第2の緑の革命を実現するためには、農学や工学の基盤技術を深い理解の上に、食料、環境、エネルギーの相互不可分の関係を理解し、人類生存の究極課題に熱意を持って挑戦するリーダーが必要である。このような課題認識に基づき、生命の源である?食?に関する地球規模での究極的な課題に挑戦し、食の生産性やエネルギー依存形態を変革する構想力と「実践力」を備えた国際的なリーダーを養成することを目的とした。この人材養成の目的を達成するために、?プラクティカルサイエンス(実践科学)学位プログラム?を導入し、以下の人材養成の目標を達成すべく体系的に教育を行う。

  • 高度な実践型研究人材として、食料、環境、エネルギーの相互不可分の関係を理解し、人類生存の究極課題に熱意を持って挑戦できる
  • 複合領域に跨がる広い専門分野の人材を統率してチームを作り、コミュニケーション力をもって国際社会で活躍できる
  • 目標実現に向かって自らの洞察力で見出した課題について、強い意志で挑戦?実行?完遂できる

プラクティカルサイエンス(実践科学)学位プログラムを推進する大学院教育課程では、世界の第一線の大学等との連携によって、「グリーン?クリーン食料生産オープンイノベーション」を展開する。支援期間終了後はその実績に基づき、独自予算および外部資金獲得枠を応分に拡大してプログラムを発展的に継続する。本学位プログラムは、食料生産とその関連分野に関する重要課題解決に向かう優れた人材養成のために、本学の世界レベルでの研究?教育実績と、国際連携ならびに産学官連携を基軸として、実社会で活躍できる人材養成のための最高レベルの人材養成拠点とするものである。

当該大学院入学後の学生は、研究室ローテーションにより3名の教員から研究指導を受ける。また、人間力強化に向けて、人文社会系や語学表現に力点を置いた基盤科目を設定する。さらに、社会交流科目によって、企業に出向く実践型インターンシップや海外留学(長期海外派遣)を経験するシステムとし、実践力を具備したリーダー養成を可能とする。学生の主体性を確保するために、学生に自分の裁量で使える研究費を与え、自らの意思と判断で学会への参加や調査を行うことを可能にする等の仕組みも導入する。本学位プログラムにより学位授与者数は、年当たり、20名を目標としている。

 本プログラムは全学的な大学院教育改革構想に基づき、全学的な融合領域としての大学院新専攻(実践科学専攻)を、生物システム応用科学府(BASE)を責任部局として設置し、新専攻の設置に伴う教育研究スペース、施設等を大学の責任の下で完備させる。また、海外機関との連携教育、海外大学からの学生の招聘、支援スタッフの雇用等について,大学独自予算により実施する。

 当該専攻の教育は、国内外から第一線の教員を招聘すると共に、全学から厳正な審査によって選出された、教育理念を共有する意欲的な教員が参加し、全学の大学院研究科に当該リーダー養成プログラムを波及させる。教員に対しては資格再審査制度を設け、所定の業績評価期間ごとに審査を受け、基準を満たさない場合は当該専攻担当資格を停止するものとする。新任教員はテニュアトラック方式により支援期間内に雇用すると共に、支援期間終了後は一定の基準を満たした教員はテニュアとして、当該大学院教育研究を担当する。これによって、明確な目標設定と競争的な環境の中で、教員、学生それぞれが切磋琢磨する体制を構築する。
本プログラムでは、学位審査は5名以上の教員ならびに外部評価委員によって実施し、客観的な視点から教育研究目標の達成度を厳格に評価できる体制とする。所定のコースワークの科目群を履修すると共に博士論文の作成を行う。特に、実践を伴う科目ならびに博士論文の作成に至るプロセスの評価においては、①独創性、②発展性、③実践性を重視した総合評価を行ない、最終審査とする。

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