凹レンズにも凸レンズにも!焦点距離を自在に変えられる極薄なメタレンズを実現
凹レンズにも凸レンズにも!
焦点距離を自在に変えられる極薄なメタレンズを実現
国立大学法人新万博体育_万博体育官网-【官方授权牌照】大学院工学研究院先端機械システム部門の岩見健太郎准教授、同大学院工学府産業技術専攻の小川主税大学院生(専門職学位課程1年)、長瀬智保大学院生(同課程2年)と同学府機械システム工学専攻の池沢聡特任助教は、メタサーフェス( 注1 )を利用して、凹レンズから凸レンズまで幅広い焦点距離調整が可能な極薄メタレンズ( 注2 )を製作することに成功しました。この成果は超小型映像技術の実用化に貢献することが期待されます。
本研究成果は、米国光学会Optics Express(11月9日付)に掲載されました。
URL:https://www.osapublishing.org/oe/fulltext.cfm?uri=oe-28-24-35602&id=442499
DOI : https://doi.org/10.1364/OE.411054
現状
極薄の平面レンズであるメタレンズは、超小型?軽量であることから、小型飛行ロボット?ドローンの眼やバーチャルリアリティ用ヘッドセット?プロジェクタの小型化、スマートフォンカメラの薄型化などへの応用が期待されています。メタレンズの実用化のためには、小型?軽量という特徴を生かしつつ、少ない色収差や可変焦点機能など従来の屈折レンズが持っている種々の機能を実現することが望まれます。しかしながら、従来の可変焦点メタレンズは、可変焦点機能を付与しようとすると大型化してしまったり、焦点の可変範囲が狭いという問題がありました。
研究体制
本研究は、新万博体育_万博体育官网-【官方授权牌照】大学院工学研究院先端機械システム部門の岩見健太郎准教授と同大学院工学府機械システム工学専攻の池沢聡特任助教、産業技術専攻の小川主税大学院生(専門職学位課程1年)、長瀬智保大学院生(同課程2年)により行われました。また、本研究の一部は日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(B)(一般)(17H02754)の支援により行われました。本研究の試料作成には、文部科学省 ナノテクノロジープラットフォームのネットワークを通じ、東京大学微細加工拠点、同大学微細構造拠点の共用設備を利用させていただきました。また、解析には、東京工業大学のスーパーコンピュータTSUBAME 3.0を利用して行われました。
研究成果
今回、ガラス基板上にアモルファスシリコンのナノ柱構造をメタアトム(
注3
)として1,700万本配置した「モアレ?メタレンズ」を作成しました。これは2枚のレンズからなり、お互いに回転させることで図1のように凸レンズにも凹レンズにもなります。これは、焦点距離が正(凸レンズ)から負(凹レンズ)に連続的に変化することに対応します。また、回転させるだけで焦点距離が変るため、通常のズームレンズのようにレンズ間に間隔を必要とせず、小型化に適している構造であることが特徴です。電子線描画技術等を用いてこのレンズを実際に制作し、波長900nmの近赤外線で焦点距離を変化させられることを実証しました。(図2)。
今後の展開
今後は可視光などより短波長での動作や、カラー化(色収差の抑制:違う色を入れても焦点距離が変らない)を進めていきます。また現在は手動で回転角を変えていますが、マイクロ自動ステージと集積化することなどによる自動化を目指します。
注1 メタサーフェス
光(電磁波)の波長に比べて小さいサイズの構造を配列することで、自然界には存在しない屈折率や光機能を実現できる機能性表面。「メタ」は「高次な-」「超-」を意味する接頭語。
注2 メタレンズ
メタサーフェスの考え方に基づいて作られたレンズ。光の波長よりも薄い極薄構造でありながら、凸レンズや凹レンズのような集光機能、結像機能を有する。
注3 メタアトム
メタサーフェスを構成する、光(電磁波)の波長に比べて小さいサイズの構造のこと。今回は、アモルファスシリコン製の柱をメタアトムとして用いた。
◆研究に関する問い合わせ◆
新万博体育_万博体育官网-【官方授权牌照】大学院工学研究院
先端機械システム部門 准教授
岩見 健太郎(いわみ けんたろう)
TEL/FAX:042-388-7658
E-mail:k_iwami(ここに@を入れてください)cc.wxanhx.com
関連リンク(別ウィンドウで開きます)
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